テントやタープを地面に固定するための杭の名前を「ペグ」と言います。
ペグは、キャンプサイトの地質や、キャンプをする日の天候などによって適した素材や形状があります。
自分が探している最適なペグを探すには、「重量」、「価格」、「貫通力」、「固定力」、「強度」に注目するのがよいでしょう。
テントやタープを固定する杭の名前はペグ
テントやタープを固定する杭の事をペグと言いますが、ペグには素材と形状で色々と種類があります。
それぞれを簡単に紹介すると以下の通りです。
- 鉄製
- 鍛造
- プラスチック製
- アルミ製
- チタン製
- ネイル型
- ピン型
- V字
- Y字
ここからは、それぞれのペグのメリット、デメリットを先ほどペグの選び方で挙げた5つの切り口「重量」、「価格」、「貫通力」、「固定力」、「強度」に沿って紹介します。
ちなみに「貫通力」、「固定力」、「強度」はこの記事では以下の意味で使っています。
- 「貫通力」・・・硬い地面のペグ打ちでも、小石を避けたり砕いたりして刺さるか。
- 「固定力」・・・ペグの固定力が高いとは、ペグが地面から抜けにくいかを意味する。固定力がなければ、地面の中でペグが動き、ロープが外れやすくなる。
- 「強度」とは・・・ペグの強度は、耐久性(壊れやすさ)を意味する。強度には、ペグを打つ時に壊れにくいか、ペグが打たれている状態で強風が吹いても、ロープを支えられる強度があるかの2つの意味を持つ。
素材別ペグのメリット・デメリット
「重量」、「価格」、「貫通力」、「固定力」、「強度」のうち、数値化出来る「重量」「価格」「強度」で素材別にペグをまとめると以下の表のようになります。
ペグの素材 | 重量 (30㎝のペグ1本分で比較) | 価格 (1本分で比較) | 強度 |
---|---|---|---|
鉄製 | 180g | 100円~300円(鋳造ペグ) 約100円(鉄製のピンペグ) | ★★★ ※ピンペグタイプは強度は低め |
鍛造 | 187g | 500円前後 | ★★★ |
プラスチック製 | 40g | 100円~200円 | ★ |
アルミ製 | 70g ※アルミ製はピンペグタイプの場合、より軽量な場合もあり | 150円~300円
| ★★
|
チタン製 | 70g | 300円~500円(中華製) 800円~1000円(日本製) | ★★★
|
※価格は、調査時の平均的な値段を記述しています。
※重量、強度は、形状によっても変動します。
次に「貫通力」、「固定力」、「強度」についてですが、この3つは数値的に評価する事が難しいです。
例えば固定力が高くてもその固定力が活かされない地質という事もあります。
そのため、ペグを刺す地質別でこの3つを総合的に評価すると以下の通りです。
ペグの素材 | 地質 | ||
---|---|---|---|
A.芝生や、 柔らかい土 | B.硬い土や、 石や砂利が混じる河原 | C.砂地や雪 | |
鉄製 | ○ | ○ | × |
鍛造 | ○ | ○ | × |
プラスチック製 | ○ | × | ○ |
アルミ製 | ○ | × | △ |
チタン製 | ○ | ○ | × |
適している・・・〇、適していない・・・×、なんとかなる・・・△
鉄製ペグ
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鉄によって製造されたペグで、耐久性があり地面への貫通力、固定力もあると言われているのが特徴です。
鉄製ペグは、「A.芝生や、柔らかい土」、「B.硬い土や、石や砂利が混じる河原」に固定力があり、「C.砂地や雪」には不向きです。
砂地や雪では、鉄製ペグの形状ではペグが崩れやすい砂や雪を掴みづらく、固定力は高くありません。
鉄製ペグの中には、熱して高い温度の金属を、金型に流し製造された「鋳造(ちゅうぞう)ペグ」と呼ばれる物や、「ピンペグ」と呼ばれるペグも有名です。
鍛造ペグよりも値段が安いので、なるべく安くペグを揃えたい時におすすめです。
鉄製ペグのメリット
・値段が安い
・頑丈
鉄製ペグのデメリット
・砂地や柔らかい地質に不向き
・重い
鍛造ペグ
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鍛造(たんぞう)ペグは、製品の元となる鋼をハンマーで何度も叩き、製品の形に近づけ製造されたものです。
スノーピーク「ソリッドステーク」やエリッゼ「エリッゼステーク」が有名です。
万能と言われる鍛造ペグですが、鋼を塗装して作られているので、繰り返し使うことで、塗装が剥がれると、そこから水分が浸入し錆びてきてしまいます。
サビが発生すると、強度にも影響するので、鍛造ペグを使用した後は、土や水分を拭き取り乾かして収納するのがよいでしょう。
鍛造ペグは、鉄製ペグと同様「A.芝生や、柔らかい土」、「B.硬い土や、石や砂利が混じる河原」に固定力があり、「C.砂地や雪」には不向きです。
砂地や雪では、鍛造ペグの形状ではペグが崩れやすい砂や雪を掴みづらく、固定力は高くありません。
大型の2ルームテントなどに使用すれば強度、固定力も上がります。
貫通力もあるので、風が強い時には、30㎝以上の鍛造ペグを深めに打ち込めば安心です。
鍛造ペグのメリット
・頑丈
・地面への貫通力もあり、砂利や硬い地面でもペグダウン可能
鍛造ペグのデメリット
・塗装が剥がれると錆びやすい
・値段が高い
・重い
プラスチック製ペグ
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プラペグとも呼ばれ、テントやタープの購入時、付属している場合も多く扱いやすい素材です。
プラペグは、「砂地や雪」に最適と言われています。
その理由は2つあります。
1つ目は軽量なため、海風でペグが抜けて飛ばされてもケガなどの心配が少ないから。
2つ目はプラペグは他の素材のペグに比べ、形状が表面積が大きく(太かったり、ギザギザしていて引っ掛かりがある)作られていて、サラサラした砂地や雪でもしっかりと地面を掴む固定力があるから。
砂地や柔らかい地面で使用すると、しっかりと固定力もあります。
砂浜の場合、子供が裸足で駆け回ることも考えると、金属よりも安全です。
プラスチック製ペグのメリット
・値段が安い
・軽い
・安全
・砂地や雪に最適
・雪に刺した時安定する(素材の密度が高く、金属のペグよりも雪上キャンプに適している)
プラスチック製ペグのデメリット
・硬い地面に刺さりづらい
・強く叩くと破損する
アルミ製ペグ
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一般的に思い浮かぶのはテントやタープの購入時、付属しているアルミ製ピンペグです。
合金内の成分の違いで強度に違いがあるので、購入時チェックしてみるとよいでしょう。
ファミキャンの場合、都市型キャンプ場などの整備されたキャンプ場を利用する人が多いでしょう。
その場合、「芝生や、柔らかい土」のサイトであるため、アルミ製ペグでも十分固定力があります。
アルミの一番の特性は、他の金属に比べ軽量で安価という点ですが、「貫通力」、「固定力」、「強度」も平均的で、バランスのよい素材と言えます。
アルミは加工しやすいため、ピンペグやV字型ペグなど様々な形状があり、アルミ製ペグと言っても形状によって特性が分かれるので、下記「ペグの形状別種類」と合わせてチェックしてください。
芝生サイトで、天候、風が安定していれば、付属のアルミ製ペグでも十分です。
他の素材に比べ軽いため、山岳用に向いている。
付属しているアルミ製ピンペグは、地面とテントの間に敷くグランドシートを止めるペグとしても利用出来ます。
アルミ製ペグのメリット
・軽い
・値段が安い
アルミ製ペグのデメリット
・折れ曲がりやすい
・硬い地面の場合、刺さりづらい
チタン製ペグ
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チタンの強度は鉄の約2倍、アルミの約3倍、重量は鉄の3分の2くらいと言われていて、錆びにくい金属という特性があります。
軽量ですが頑丈なチタン製は、打ち込む時にペグ先がつぶれたり、ペグが曲がることが少ないため、地面への貫通力も高いです。
このことから、「重量」、「貫通力」、「強度」+「錆びにくい」という点で、鍛造ペグを上回っていて、最強のペグとも言えます。
ただ「価格」が高く、チタン製ペグの販売も他の素材のペグに比べ少ないため、あまり一般的でない印象を受けます。
(最近は、安めの中華製ペグの販売で、チタン製ペグを使用する人も増えてきています。)
固定力ですが、チタンペグは鍛造ペグと同様「A.芝生や、柔らかい土」、「B.硬い土や、石や砂利が混じる河原」に固定力があります。
また、チタンペグは硬い素材で加工がしにくく、円型で細い形状の物が多いため、崩れやすい砂や雪を掴みづらく「C.砂地や雪」では、固定力は低いと言えます。
出来るだけ荷物の量を減らし、軽くしたい場合に特におすすめです。
アルミ製同様、山岳用として使用されることが多いです。
チタン製ペグのメリット
・頑丈
・軽い
・錆びない
チタン製ペグのデメリット
・値段が高い
ペグの形状別種類
ペグの形状は、上記段落「ペグの素材別種類」で説明した「固定力」と大きく関わりがあります。
「固定力」はペグと地面の接地面が広ければ広い程高くなるので、ペグの形状が重要です。
例えば、円状の細い棒より、ギザギザした太い棒のほうが地面との接地面積が広いため、「固定力」が高くなるということです。
また、より地面深くにペグを刺すことが出来れば固定力は高くなるので、貫通力が高ければ、固定力も高くなります。
・下記表で、ペグの素材、形状別にどんな地質が適しているかをまとめます。
ペグの形状 | 地質 | ||
---|---|---|---|
A.芝生や、 柔らかい土 | B.硬い土や、 石や砂利が混じる河原 | C.砂地や雪 | |
ネイル型 | ○ | ○ | △ |
ピン型 | ○ | × | × |
V字型 | ○ | △ | ○ |
Y字型 | ○ | ○ | ○ |
適している・・・〇、適していない・・・×、なんとかなる・・・△
ネイル型ペグ
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ネイルとは「釘」を意味していて、釘にプラスチックのフックが付いたような形をしているのが特徴です。
ヘッドのプラスチック部分にハンマーの力が加わりやすく、女性でも地面にまっすぐ打ち込みやすい形をしています。
そのため、しっかりと地面深くまでペグダウン出来れば、「A.芝生や、柔らかい土」、「B.硬い土や、石や砂利が混じる河原」でも固定力が高い形状です。
ネイル型ペグのメリット
・ペグ先の断面積が小さいため、貫通力もあり砂利サイトでもペグダウン可能
・柔らかい地面から硬い地面まで幅広く使える
・値段が安い
ネイル型ペグのデメリット
・プラスチックのフック部分が壊れやすい
・ヘッド部分が、若干嵩張る
ピン型ペグ
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鉄製やアルミ製が多く、テントやタープの購入時、付属品として付いている場合もあります。
ヘッド部分がL字型やクエスチョンマークのような形で作られているのが特徴です。
しっかりとペグを地面に打ち込めば、「芝生や、柔らかい土」では安定して使用出来ます。
ただ細い棒状の形状をしているピン型は、貫通力、固定力が低く、「硬い土や、石や砂利が混じる河原」や「砂地や雪」では、不向きと言えます。
ピン型ペグのメリット
・軽い
・値段が安い
ピン型ペグのデメリット
・曲がりやすい(特にアルミ製)
・硬い土や砂地は不向き
V字ペグ
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ペグの断面がV型になっているのでV字ペグと呼ばれます。
素材は、鉄製、アルミ製、チタン製など様々で、強度、軽さ、値段などに違いがあります。
V字ペグは、短くてもV字という形状で地面との接地面が多く固定力があり、スタッキング(重ねること)しやすいという特徴があります。
その特性を活かして、沢山あるテントのスカート部分をペグダウンする時などにもよく使われます。(ユニフレームのちびペグが有名)
V字ペグのメリット
・地面に打ち込みやすく、抜きやすい
・スタッキング(重ねること)が出来る
V字ペグのデメリット
・地面から抜いた後、V字型の溝に土が付着するので、土を取る手間がかかる
Y字ペグ
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上から見た時にYの形になっているのでY字ペグと呼ばれます。
Y字という形状のため3方向に力が分散され、またV字よりも地面との接地面が多いため、V字ペグよりも固定力があります。
固定力の高さから、タープのメインポールのペグとして使用する人もいて、「A.芝生や、柔らかい土」、「B.硬い土や、石や砂利が混じる河原」、「C.砂浜や雪」の全てで固定力が高いと言えます。
Y字ペグのメリット
・曲がりにくい
・固定力があり、ペグが抜けにくい
Y字ペグのデメリット
・地面から抜いた後、Y字型の溝に土が付着するので、土を取る手間がかかる
・スタッキング(重ねること)が出来ない
簡単には抜けない正しいペグ打ちの方法
ペグを地面に打つ事を「ペグダウン」とも言います。
- 張り綱を引っ張りペグダウンする位置を確認し、45度~60度くらい傾けて頭部分をテント外側に向けて打ち込む
- ペグと伸ばした張り綱が90度になるのが理想的
撤収時にペグを簡単に抜く方法
ペグを簡単に抜く方法のポイントは以下の3つです。
- ペグハンマーに付いているペグ抜きを使って、ペグの穴やフックにかけて引っ張る
- ペグ抜きがない時は、別のペグを使ってペグのフックにかけて引っ張る
- ペグの左右をハンマーや足で叩き、地面とペグの間に隙間を作り、抜きやすくする
上の3つのポイントに加え、ペグは形状ごとに抜くコツがそれぞれ違います。
下記インスタで鍛造ペグ、ネイルペグを抜く時の方法が分かりやすく説明されているので、紹介します。
【鍛造ペグの抜き方】
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【ネイルペグの抜き方】
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