じゃんけんは、「蛇はムカデを恐れ、蛙は蛇を恐れ、ムカデは蛙を恐る」という中国の書物に出てくる「三すくみ」という状態をゲーム化したものが由来です。
現在のじゃんけんの、グー、チョキ、パーを手で表す事、そしてグーが石、チョキがハサミ、パーが紙を表すというゲームになるまで4つのゲームを経由しています。
じゃんけんになるまでの変遷
冒頭で紹介した「三すくみ」から「じゃんけん」になるまでのゲームの系譜が下の図です。
じゃんけんの由来は三すくみ拳
最初は三すくみ拳
じゃんけんの由来の最初は、三すくみを作り出す遊び「三すくみ拳」だと言われています。
グー、チョキ、パーのように、三つの物がそれぞれ得意・不得意な相手を一つずつ持つことで、互いに牽制しあい身動きが取れなくなるような状態を「三すくみ」と言います。
「三すくみ」は中国の周時代の書物「関尹氏」で、「蛇はムカデを恐れ、蛙は蛇を恐れ、ムカデは蛙を恐る」と言う意味で使われています。
この三すくみを上手く利用した遊びのことを「三すくみ拳」と言い、後にじゃんけんへと発展します。
親指を蛙、人差し指を蛇、小指をナメクジに手を擬する遊びの登場
さんすくみ拳が生まれた後、「虫拳」と呼ばれる拳遊びが登場しました。
虫拳は、親指を蛙、人差し指を蛇、小指をナメクジに擬して勝負する拳遊びです。
この虫拳は、後に「石拳」と呼ばれる手を使った遊びへと発展していきます。
グー、チョキ、パーの起源となる数拳
17世紀末中国から伝来した「数拳」の拳遊びが発展して、今のグー、チョキ、パーへ変遷しました。
数拳とは、2人が互いに片手の指で数を示し、同時に双方の出した数の合計を言い、当たった方が勝ちという拳遊びです。
数拳は虫拳の三すくみの要素はありませんが、手を使った遊びという要素を受け継いでします。
後に数拳のうち1、3、4が省かれて、分かりやすい0と5、その間の2が残されたとされています。
数拳に三すくみの要素が融合し石拳が誕生
石拳は江戸時代中期から後半にかけて流行した、手のひらの形を変えて行う子どもたちの手遊びです。
今のじゃんけんでいうグーにあたる拳の握りが「石」を意味することから、石拳と呼ばれていました。
この石拳は、虫拳をもとに考案されたとされています。
ただし、虫拳の親指を蛙、人差し指を蛇、小指をナメクジとしていたものから、石、はさみ、紙への変遷について確かな記録は残っていません。
「0」「2」「5」が残された「数拳」が昔の子供たちのアイデアにより、老若男女関係なく優劣を理解できるよう「虫拳」と合わさって「石」「はさみ」「紙」へと変遷し「石拳」になっていったのではないかと考えられています。
「じゃんけん」と呼ばれてはいないものの、ルールとしてはほぼじゃんけんと同じであり、「石拳」が「じゃんけん」のルーツと呼ばれています。
じゃんけんの語源は様々ある。
じゃんけんの語源には、2人で行うことから「両拳」というものや「石拳(じゃくけん)」の「じゃくけん」が変化したとする説、「蛇拳(じゃけん)」とする説、など多くの説があります。
どれが実際の語源となったのかは、現在も分かっていません。
地方によって「じゃんけん」の言い方が違う理由
地方によって「じゃんけん」の言い方が違う理由は、はっきりとは分かりませんでした。
日本では100種類以上の「じゃんけん」の言い方があるようで、これらは日本各地の文化や方言などからローカルな呼び方が生まれたのではないかと考えられます。
例えばじゃんけんのことを、大阪では「じゃいけん」、東北地方では「ほうらいき」と言います。
各地でじゃんけんのローカルな呼び方が生まれた理由については分かりませんでしたが、地方で聞き馴染みのある言葉に自然と変化していったのではないかと考えられます。
じゃんけんのチョキの変遷
日本のじゃんけんのチョキは、元々人差し指と親指を伸ばす「男チョキ」と呼ばれるものが普及していました。
「男チョキ」は和ばさみの形状をイメージしています。
これが日本国中を伝播するうちに、洋ばさみからイメージされた人差し指と中指を使う「女チョキ」に派生したとされています。
「男チョキ」は九州を中心とした西日本に多く分布しており、東京などの東日本には普及しなかったため「田舎チョキ」と呼ばれることもあります。
英語のロック、ペーパー、シザーズは日本生まれ
じゃんけんのことを英語で「ロック、ペーパー、シザーズ」と言います。
ruckは「石」なのでグー、paperは「紙」なのでパー、scissorsは「ハサミ」なのでチョキを表します。
これは日本の「石拳」に由来したものです。
これは20世紀に入り、日本の海外発展や柔道など日本武道や漫画やアニメ、ゲームなど日本のサブカルチャーの世界的普及に伴って、急速に英語圏へ拡がったとされています。
海外のじゃんけん的なゲーム
アメリカ
アメリカでは「コイントス」という、勝敗を決めるゲームがあります。
やり方は地域によって多少変わるようですが、基本的には25セントを使用し、1人がコインを親指に乗せ回転させながら空に飛ばし、それをキャッチした時点で相手が表か裏を宣言するというものです。
ブラジル
ブラジルには「パー オウ インパー」という、勝敗を決めるゲームがあります。
直訳すると「偶数か奇数か」というゲーム名なのですが、具体的な方法は最初に偶数か奇数を宣言し、お互いが同時に指を出し、その合計が偶数か奇数かによって宣言した人が勝ちというものです。