ノスタルジーの由来はスイス人の造語で遠い地で戦う兵士のうつ病の事

ノスタルジーの由来は、スイス人医学生が今でいう、うつ病に対してギリシャ語をベースに作った造語です。

では、どのようにノスタルジーという言葉が生まれたのか、そして元々はギリシャ語であるノスタルジーが世界中に広まったかを紹介します。

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ノスタルジーの由来は、スイス医学生の造語のnostos+algos

「ノスタルジー」の語源は、ギリシャ語の“nostos”と“algos”をつなげた言葉

1688年にスイスの医学生、ヨハネス・ホーファー (Johannes Hofer:1669-1752) によってつくられた造語で、

nostos (ふるさとに帰ること) + algos (痛み)=nostalgie(ノスタルジー)

となります。

「祖国へ帰りたいが、叶わないかも知れないという恐れを伴う病人の心の痛み」

「恋しい故郷へ帰れないがために、抑うつや食欲不振を招いてしまう現象」

という意味で「ノスタルジー」という言葉と概念が生まれました。

 

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もともとは、医学用語として使われてきた言葉

言葉が生まれた当初は、「ノスタルジー」は概念上、医学用語で心の病として扱われていました。

やがて精神科医となったヨハネス・ホーファーは、1688年に論文:『Medical Dissertation on Nostalgia』で、「ノスタルジー」について、研究や症例の報告などを発表しています。

 

スイス人医師が作った「ノスタルジー」がフランス語で使われるようになった理由

新病を見つけた場所がフランス・アルザス地方だったから。

「nostalgie」がフランス語の理由として、1688年にヨハネス・ホーファーが、潜伏性のある新病を見つけた場所がフランス・アルザス地方だったからです。

病気の主な症状は不整脈、うつ、心身衰弱、不眠症など、最悪の場合、心の病でも死に至ることもありました。

特徴的なのは、ヨーロッパ間の戦争で、遠く離れた地で戦う、スイス傭兵だけがかかってしまう病気でした。

フランスに長期間潜伏していた、スイス傭兵の叶わない故郷への帰還の念がたたって、心に病を患ってしまい、新病として「nostalgie」とヨハネス・ホーファーが現地のフランス語で名付けました。

 

ノスタルジーはフランス語、ノスタルジアは英語

実は、英語では「ノスタルジー」存在しない言葉。

  • nostalgie(ノスタルジー)→フランス語(名詞)
  • nostalgic(ノスタルジック)→英語(形容詞)
  • nostalgia(ノスタルジア)→英語(名詞)

このように「ノスタルジー/nostalgie」を英語表記すると、「nostalgic」か「nostalgia」の2つになり、したがって「ノスタルジー/nostalgie」はフランス語のみの表記とされます。

 

英語でも意味はそのまま、フランス語と同じ「過去や時代に思いをふける」という意味です。

「ノスタルジー」の他に同じ言葉でも、言語によって綴りや意味・表現が変わる言葉はたくさんあります。

 

ノスタルジーとレトロの違い

ノスタルジーは「懐古」、レトロは「回顧」を意味し、ニュアンスが違う。

ノスタルジーは、過去を思い出し、心が動かされる様子を意味であり、これは懐古を意味します。

レトロの語源は、「レトロスペクティブ(retrospective):懐かしさを感じさせる様子」であり、

「ノスタルジー」と異なり、客観的に過去を思い出す様子を意味であり、これは回顧を意味します。

このように意味合いが違うので、この二つは同音異義語となります。

 

「レトロ」は、客観的に見て古いものを指す時に使われ、たとえば「レトロな喫茶店」「レトロなファッション」などがあります。

 

日本で初めてノスタルジーを使ったのは、森鷗外

明治~大正期の作家である永井荷風(ながいかふう)や森鴎外(もりおうがい)が作品で使っており、文明開化とともに「ノスタルジー」を取り入れたのが推測されます。

 

森鴎外が明治34年(1901年)にデンマークの作家であるハンス・クリスチャン・アンデルセンの作品『即興詩人』の作品中に、ノスタルジーを「ノスタルジア」として翻訳していました。

時代で考えると、森鷗外が「ノスタルジー」を使った最初の人物だとされます。

さらに『日本国語大辞典』によれば、永井荷風が明治42年(1909年)に発表した作品『ふらんす物語』に「ノスタルヂヤ」として使われていたのが確認されています。

 

このようにノスタルジーは明治時代の文学界で使われ始め、この時代では「ノスタルジー」を心の病ではなく、「故郷を懐かしく思って、感慨にふける」という意味で使われています。

 

ノスタルジーはカタカナ語

「ノスタルジー(nostalgie)」は日本では、カタカナ語扱いとされ、フランス語の意味(郷愁・懐古)をそのまま受け継いでいます。

「カタカナ語」とは、日本語の文章の中で、カタカナ表記される言葉のことを意味します。

カタカナ語は外来語、和製英語、略語の3種類に分かれ、以下の言葉が例として対象になります。

 

それ実はカタカナ語です

アルバイト(外来語)

アルバイトの語源は、 ドイツ語で“Arbeit”(アルバイト)から来ています。

ただし、ドイツ語と日本語では「アルバイト」の解釈は違っており、

  • ドイツ語「Arbeit」→正社員・正規雇用と同じ形態の労働のこと。
  • 日本語「アルバイト」→短時間契約・日雇い・副業など短期の労働のこと。

このように、ドイツと日本で労働形態の意味が変わってきます。

 

コンセント(和製英語)

「コンセント」の語源は、英語で「concentric plug」で、「コンセントプラグ」から「コンセント」に略されたものだという諸説があります。

英語表記では、差す側の方は「plug(プラグ)」として語源のなじみがありますが、

差し込み口の方は、「outlet(アウトレット)」が正しい英語表記です。

したがって、「コンセント」は英語圏では通じません。

 

リストラ(日本独自の略語)

リストラの由来は、英語の「restructuring」で、こちらも「アルバイト」同様、国によって意味合いが変わります。

  • 「restructuring」→環境や体制を最適化、整えるための組織改革。
  • 「リストラ」→合理化を意味し、従業員を解雇する。

したがって、英語での「restructuring」は「解雇」の意味ではありません。

「解雇する」を英語にする場合は、「fire」か「lay off」を使います。

 

このように普段、無意識に使っている「カタカナ語」は、国の言語によって綴りや意味・表現が変わる言葉として定義づけされています。

 

アルプスの少女ハイジによってノスタルジーの概念が変わった

17~18世紀では、ノスタルジーはスイスの国民的な病気とされ、スイス文学の代表作「ハイジ」(ヨハンナ・シュピリ著)の主人公もこの病に苦しんでいます。

 

「ハイジ」の作品は、ノスタルジーを中心とした内容で、アルプスで幸せに暮らしていたハイジが、ある日遠い街に送り出され、心の病にかかってしまい、うつ状態・夢遊病などの症状が出てしまいます。

症状が治まる方法はただひとつ、スイス傭兵と同じ願いだった「故郷に帰る」ことでした。

 

「ノスタルジー」と名付けられた1688年以来、医学的には長い間、女性や子供はノスタルジーにかかりにくいと考えられていました。

ところがヨハンナ・シュピリが主人公・ハイジが「ノスタルジー」にかかっている描写をしたことで、ノスタルジーの概念は大きく変わりました。

それが医学界や世間へ大きな影響を与え、ノスタルジーは大人でも子供でもかかりやすいという概念に変わっていきました。

 

時代の変化もあり、やがてノスタルジーはホームシックという言葉に置き換わり、現在ではホームシックは子どもがなりやすい症状だという概念になっています。

アルプスの少女ハイジは、アニメになるなど非常に有名な作品ですが、「ハイジ」の小説がノスタルジーの概念を変えていたことは、ごく一部の人だけが知っている事実のです。

 

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