上を表すのが「ピン」で、下を表すのが「キリ」という意味のピンキリですが、ピンキリの語源はポルトガル語にあります
ポルトガル語の「1」がピン、「十字架」がキリが語源です。
ちなみに、現代でピンキリはピンは上、キリが下の意味合いで使っていますが、実は江戸時代までは逆でした。
ピンキリと繋げた言葉になった変遷、何故意味が逆に変わったのかについて紹介します。
ピンキリの語源
ピンキリの語源はポルトガル語です。
ピンキリは、室町時代にポルトガルから入ってきた歴史ある言葉です。
ピンの語源はポルトガル語で1を表す「Pinta」
ピンの語源はポルトガル語の「Pinta」が語源です。
「Pinta」はポルトガル語で「点」という意味があり、カルタやサイコロなどの1の目を指す言葉でもありました。
その後、南蛮貿易でポルトガルから伝来したカード遊びで、1を表すカードは「Pinta」から「ピン」と呼ばれるようになりました。
このカード遊びは日本では天生カルタと呼ばれ、「ピン」という言葉と共に広く普及するようになりました。
キリの語源はポルトガル語で十字架を表す「cruz」から天正かるたに転じたもの
キリの語源はポルトガル語で十字架を意味する「cruz」です。
「cruz」は、十字架という意味から次第に10という意味合いも持ち合わせるようになりました。
そのため、「cruz」が由来であるキリは最低、最後という意味もあります。
その後、日本で天生カルタが普及すると、最後の数字であった12のカードがキリと呼ばれるようになり広く知られるようになりました。
「ピンからキリまで」と繋げて言うようになった由来
ピンからキリまでと繋げて言うようになった由来は、江戸時代にあります。
江戸時代になると、天生カルタが1(ピン)から12(キリ)まであったことから「ピンからキリまで」という慣用句が生まれたのです。
ピンからキリまでという慣用句で、物事の幅広さやランクの幅がある様を表すことができます。
ちなみに、ピンキリと略して言われるようになったのは昭和になってからだと言われています。
ピンが上、キリが下の意味になったのは江戸時代から
ピンが上で、キリが下を表すようになったのは実は江戸時代に入ってからです。
室町時代にポルトガルから伝来した際には、ピンとキリの意味は逆でした。
南蛮貿易で伝来した、天正カルタに1点札「ピン」は、ルール上、最低点の札で12点の札「キリ」は最高点となっていました。
天正カルタのルールに従えばピンは最初で最低、キリは最後で最高という意味でした。
しかし、江戸時代に「ピンからキリまで」という慣用句が使われる様になってから、ピンとキリの意味が曖昧となり、時の流れとともに意味が逆転して使われるようになりました。
ポルトガル語が語源の言葉
日本語には、ピンキリ以外にもポルトガル語が語源の言葉がたくさんあります。
カッパ
雨の日に着るカッパ(レインコート)もポルトガル語が語源の言葉です。
カッパの意味
カッパはポルトガル語でカバーという意味があります。
そのためポルトガル語では、雨の日に雨から体を守るレインコートやクッションカバー、ブックカバーなどはすべてカッパと呼ばれています。
カッパの語源
カッパはポルトガル語の「capa」が語源です。
漢字で「合羽」や「雨合羽」と書くのは日本語の当て字になります。
16世紀に日本に来航したポルトガル人がカッパを着ていた事がきっかけで日本にもカッパが広まっていきました。
タバコ
タバコもポルトガル語が語源の言葉です。
タバコの意味
タバコはもともと葉っぱの名前で、乾燥させて加工すると、火をつけて吸煙することができます。
現代では、日本でも広く普及しているタバコは、桃山時代に南アメリカ原産のものがポルトガル人によって流入しました。
タバコの語源
タバコの語源は、ポルトガル語やスペイン語の「tobaco」です。
16世紀初頭に南アメリカ原産のタバコがスペインに広まった事をきっかけに、「tobaco」という名前も一緒に世界に伝わりました。
パン
日本人が日常的に食べることがあるパンも、実はポルトガル語が語源となっています。
パンの意味
パンは、小麦粉やライ麦粉などの穀粉を使用し、水やイースト、塩などと合わせてこね、発酵した後、焼いた食品のことを指します。
パンは、キリスト教が布教された際に日本にも伝来しました。
パンの語源
パンの語源は、ポルトガル語の「pão」です。
「pão」は中国を介さずに直接日本に伝来した言葉の中で、一番古い言葉だと言われています。
パンにはもともと「麺包」や「麪包」、「蒸餅」などの漢字が当てられていましたが、現代ではカタカナで表記することが一般的となりました。
ピンキリの類義語
ピンキリはカジュアルな表現のためビジネスシーンで使用できる類義語も一緒に覚えておきましょう。
ピンキリの類義語には、「玉石混交」や「多様」などがあります。
「玉石混交」は、優れたものと劣ったものが入り混じった様子、「多様」はさまざまな種類のものが入り混じっている様子を表します。
場面に合わせて、ピンキリの類義語を使い分けてみましょう。