タブロイドの語源はイギリスの製薬会社が小型の錠剤を発売した事に由来します。
では、小型の錠剤という意味のタブロイドがどのように新聞の種類の一つに付けられたのか、そして、大衆紙の事をなぜタブロイド紙と呼ぶのかを順番に紹介します。
タブロイドの由来は小さな錠剤
タブロイドという言葉の語源は、元々製薬会社であるバロウズ・ウェルカム・アンド・カンパニーが、「タブロイド(Tabloid)」という錠剤を発売したものが由来です。
小さく圧縮されたその錠剤がイギリスで広く普及したため、「タブロイド」という言葉は小型を意味する言葉の代名詞となりました。
その後、小型サイズの新聞が発売された際、小型サイズの新聞の事を「タブロイド」と呼ばれるようになりました。
タブロイド紙が大衆紙と言われる理由は芸能や娯楽中心の紙面からスタートしたから
1918年に小型の新聞が登場した際には、その新聞の判型が小さいため、先ほど紹介した錠剤「タブロイド(Tabloid)」を転用して、小型という意味の代名詞でもある「タブロイド」を用いて、「タブロイド判」と呼ばれるようになりました。
タブロイド判の新聞には「The Daily Mirror」「The Suns」などがある、芸能やゴシップ、娯楽などの記事を扱っていました。
記事は短く読みやすい文章で書かれ、写真やイラストなどは大きく載せる特徴があり万人受けするものだったため、タブロイド紙は大衆紙と呼ばれるようになりました。
タブロイド判ではない新聞紙のサイズはブランケット判
新聞紙のサイズには小型なタブロイド判以外にも、ブランケット判と呼ばれる標準的なサイズのものもあります。
日本に新聞が普及し始めた明治時代、フランスから輸入した高速輪転機で使用した紙のサイズがブランケット判サイズでした。
フランスから輸入された高速輪転機は、新聞を大量に刷ることができる機械で、輸入後もフランス製のものを参考にして国産の輪転機が開発されていきました。
輪転機で使われる紙のサイズはその後も変わることがなかったため、ブランケット判が日本の標準的な新聞規格として親しまれるようになりました。
日本のタブロイド判は国際標準と違う
イギリスで生まれ、たくさんの国で採用されているタブロイド判のサイズ規格は、日本のタブロイド判のサイズと異なっています。
日本で新聞のサイズとして最も一般的なブランケット判型は、54.5cm×40.6cmで、先ほど紹介し通り、フランスの輪転機のものをベースにしています。
その時に採用したブランケット判の規格は、フランス独自の物で、それがそのまま日本のローカル規格になりました。
日本は、このブランケット判の半分のサイズをタブロイド判と定義しているため、27.3cm×40.0cmが日本の規格となりました。
国際基準のタブロイド判は横28.5cm×40.0cmなので、日本のタブロイド判の方が縦の長さが1.2cm程小さくなります。
日本初のタブロイド紙は夕刊フジ
日本で初めて誕生したタブロイド紙は、夕刊専門紙の「夕刊フジ」でした。
1960年代の高度成長期に、団地新聞と言われるフリーペーパーが多く配られるようになり、1969年に「夕刊フジ」が創刊されました。
その後は、1975年に「日刊ゲンダイ」が創刊されるなどタブロイド紙が多く発行されるようになりました。
タブロイド紙の成功例が増えていくと、一般紙の別刷りや、夕刊などがタブロイド化するブームも起こりました。
イギリスは階級によって、読むタブロイド紙が違う
イギリスでは階級社会が根付いていますが、タブロイド紙の読者層にも階級の違いが表れています。
労働者階級に人気の高いタブロイド紙は、「Daily Mirror」です。
創刊当初は、女性向けの新聞として売り出していたそうですが、その後は労働者階級のための新聞へと方針転換をしたようです。
労働者階級から下層中流階級の人には、「The Sun」というタブロイド紙が流行しています。
イギリスの日刊紙として最大部数を誇り、大きな見出しと興味を引くスクープ記事が特徴です。
中産階級以上の人たちは、そもそもタブロイド紙を読むことが少なく、人前でタブロイド紙を読むことは恥ずかしいことだと感じる方が多くいます。
しかし、一般的に広く読まれているタブロイド紙なので、隠れて読んでいる中産階級以上の方も多くいるようですよ。