年の瀬の語源・由来は江戸時代の売掛金の取立てで慌ただしい商人の様子

年の瀬の語源・由来は、江戸時代の一般的な商習慣である掛売りと関係します。

では、その掛売りの商習慣と年末を表す年の瀬の関係性について、紹介します。

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年の瀬の語源・由来は借金の取立ての慌ただしい様子

年の瀬の由来は、売掛金の回収で慌ただしくしていた江戸時代の年末の様子から来ています。

年の瀬の「瀬」とは、流れが速くて渡ることが難しい「川の瀬」を意味しています。

一年のうちで一番慌ただしくて時間の流れが速い時、つまり江戸時代の借金回収で大忙しの年末の時期が由来し、年の瀬と言うようになりました。

 

現代でも企業間の取引では掛売りが一般的ですが、江戸時代では小売りでも、掛売りが一般的でした。

購入者は品物を受け取り、あとでまとめて代金を支払います。

店側は、購入者と代金を台帳に記録しておき、決まった日にまとめて集金していました。

その集金日がお盆と大晦日で、一般的には大晦日が知られています。

しかも、その年の間に集金できないと売掛金は半年先まで繰越されてしまうというシステムがありました。

だから店側も、年内に売掛金を回収しようと年末は借金の取り立てで大忙しでした。

 

一年のうちで一番慌ただしくて時間の流れが速い時、つまり江戸時代の売掛金の回収で大忙しの年末の時期は、非常に時の流れが早いです。

流れが速くて渡ることが難しい「川の瀬」といい、非常に時の流れが速い年末を「川の瀬」になぞらえて、年の瀬と呼ばれるようになりました。

・江戸時代は支払方法において、ツケ払いが一般的。
・ツケ払いの集金日はお盆と大晦日で、大晦日が一般的。
・大晦日の日、借金の取り立てで大忙しの承認の様子が、流れが速くて渡ることが難しい「川の瀬」に似ている事が、年の瀬の由来。

江戸時代、掛売りが当たり前だった理由

江戸時代、身分別の人口の割合は農民が全体の8割を占めていました。

農民の収入は、年に一度の米の収穫時期です。

つまり、それ以外の時期は収入がありません。

江戸時代に売掛けが当たり前だった理由は、人口のほとんどを占めていた農民が、米の収穫時期以外には現金で買い物ができなかったためです。

 

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現金掛値なしを始めたのは三井高利

三井高利は、江戸時代に呉服店三井越後屋を営んでいた商人です。

三井高利は現金掛値なしという商法を始め、成功しました。

現金掛値なしとは、掛売りをしないで現金と引き換えに商品を売ることを言います。

つまり、現代の買い物と同じく物を買った人はその場で現金払いをする事を恥じました。

店からすると、売掛金を踏み倒されるリスクがないため、リスク分を価格に上乗せする必要がなくなり、商品を安価で販売できるようになったのです。

買い手にとっても、良質な商品を安価で手に入れることができるようになりました。

三井越後屋は、現金掛値なしの商法で商売繁盛し、日本の老舗百貨店である「三越」として現在まで名を残しています。

時代劇で悪い商人と言えば越後屋の理由

三井越後屋が現金掛値なしで繁盛した際、同業の呉服店から嫉妬され、組合から追放されたり、不買運動にあいました。

急成長を遂げた三井越後屋は、同業者の中ではあまり評判が良くなかったのです。

その背景から、越後屋が悪徳商人に選ばれたという説があります。

年の瀬と師走の違い

年の瀬と師走の違いは、時候の挨拶に使う時期の違いです。

師走よりも年の瀬の方が、12月の中でも特に年末の最も忙しくなる期間を指す、より具体性がある言葉です。

師走の由来は、冬の時期になると僧侶を招いて仏事を行う家が多く、お坊さんが忙しく走り回る様子を表したといわれています。

師走の「師」は僧侶を意味し、「師が走る」が「師走」と音変化したという説があります。

年の瀬と師走、どちらも12月の慌ただしさを表した言葉になります。

ですが時候の挨拶として使う場合、年の瀬は12月中旬頃から年末にかかり使うのが一般的です。

師走を時候の挨拶として使う場合は、12月上旬から12月下旬にかけて使います。

師走よりも年の瀬の方が、12月の中でも特に年末の最も忙しくなる期間を指し、より具体性がある言葉と言えます。

年の瀬以外の年末を表す言葉

年の瀬の他にも、年末を表す言葉はいくつかあります。

大晦日

一番よく聞く言葉は「大晦日」です。

大晦日の由来は、旧暦では毎月最後の日を「晦日」と言い、晦日の中でも一年を締めくくる12月は最も大事だとし「大」をつけて「大晦日」と呼ぶようになりました。

歳暮

歳暮も、年の暮れを意味する言葉です。

元々年の暮れに、お世話になった人に感謝して贈り物を送る「歳暮周り」という行事がありました。

この時の贈り物のことを「お歳暮」と呼ぶようになり、現在では年の暮れに贈り物を送る習慣を「お歳暮」と呼んでいます。

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