わっしょいの語源は、みんなで一丸となってお神輿を背負う「和して背負う」というのが一般的ですが、他にも諸説あります。
色々な説はありますが、どの説も神輿を担ぐ時に使われる言葉であるため、共通してみんなで一つになろうという意味合いを持っています。
では、どのような諸説があるかを紹介します。
わっしょいの語源は諸説ある
わっしょいの語源ははっきりとしたものはありませんが、神輿を担ぐ時に使われる言葉としての語源は諸説あります。
そのうちのいくつかをご紹介していきます。
和して背負う
お祭りの時に神輿をみんなで一丸となって背負うことから、「和して背負う」がわっしょいの語源となっているのではないかという説があります。
「背負う」というと背中や肩に人や物を乗せる様子を表す言葉です。
そのため、神輿を肩で担ぐという意味として使われていても不自然ではないでしょう。
また、「背負う」は「しょう」とも発音できます。「和して背負う」から「わっしょう」、「わっしょい」と変化したとも考えることができるでしょう。
和一処(わいっしょ)
みんなで一つになって力を合わせるという意味の「和一処」も「わっしょい」の語源ではないかと言われています。
「和一処」がだんだんと変化し、「わっしょい」になったという説です。
しかし、そもそも「和一処」という言葉が過去に使われていたことがあるかについては不明とされています。
和上同慶(わじょうどうけい)
ある儀式で使われていた「和上同慶」という掛け声も「わっしょい」の語源ではないかとされる説があります。
「和上同慶」の掛け声が使われていた儀式は「神輿渡御」と呼ばれており、神輿を担いで町を練り歩く儀式でした。
神輿には神が宿った神体などが移され、神輿は神霊が宿ったものとして扱われていました。
神輿渡御では、「神霊のお出ましだ」と言う意味で「和上同慶」が使われていました。
「和上同慶」の「和上」が「わっしょい」に転じたとされています。
わっしょいがお祭りで使われるようになった理由
わっしょいがお祭りで使われるようになった理由も定かではありません。
しかし、集団で物理的な力を共有して一つのもの事を成し遂げる際には、掛け声が必要になります。
掛け声をみんなで言い合うことで、みんなで神輿を担ぐことができます。
わっしょいという掛け声も神輿を複数人で一丸となって担ぐ中で自然と浸透していったとも考えられますね。
地方によってお祭りの掛け声が変わる理由
お祭りで使われる掛け声は、「わっしょい」だけではありません。地方によって、神輿を担ぐ際の掛け声は変わってきます。
セイヤの語源
セイヤの語源は東北地方に古くからある「ソイヤ」だとされています。
東北地方の祭りでは神輿をぶつけあい、喧嘩調に「それいけ!やっちまえ!」という言葉がけがされていました。
それが次第に「ソイヤ」となり、今は東京の下町で多く使われる「セイヤ」という掛け声になりました。
よいやさの語源
「よいやさ」は「いっそう栄える」と言う意味の「弥栄(いやさか)」が語源とされています。
江戸時代の浄瑠璃では、重い荷物を運ぶ際の掛け声としても使われており、歴史のある言葉だと分かります。
「よいやさ」は関東より西の関西地域を中心に広く使われる掛け声です。
地域によっては、「やっさ」や「いーやーさー」、「よいとさ」などの派生形の掛け声も使われています。
どっこいどっこいの語源
「どっこいどっこい」の語源は相撲の掛け声だと言われています。
江戸時代に相撲を取る時に、力士が相手の気をそらすために「どこえ」という言葉を発したことが語源となっています。
この「どこえ」が「どっこい」となまってその後も使われていったようです。
湘南地方の「どっこい担ぎ」が行われる茅ヶ崎海岸浜降祭では、「どっこいどっこい、どっこいそりゃ」という掛け声で神輿を担いでいます。
そーりゃそりゃの語源
大阪の岸和田だんじり祭で使われる「そーりゃそりゃ」という掛け声は、昔は「ちょうさや、えやえや」という掛け声でした。
この「ちょうさや、えやえや」は地引網を引くときの掛け声でした。
「ちょうさや、えやえや」が「ちょいとさ、えんやさ」と変化し、現在は「そーりそりゃ」となりました。
だんじり祭りは豊作や豊漁が願われる祭なので、由来が「ちょうさや、えやえや」というのも納得ですね。
神輿の由来は輿
わっしょいわっしょいと担ぐ、祭りの目玉でもある神輿は、高貴な身分の人が乗っていた「輿」が由来と言われています。
「輿」は神社を模したものが多く、中には必ず鳥居が設置されていました。
奈良時代に神社から神様を分霊する際に「輿」が使用されたのがきっかけとなり、「神輿」と言われるようになりました。
江戸時代になると、町民たちの祭りでも神輿が使われるようになり、各町で競り合うように「神輿」が作られるようになったそうです。