「ずらかる」の語源は「ずらす」で江戸時代の盗人の隠語

「ずらかる」の語源は、「ずらす」です。

江戸時代の盗人が、悪いことをして逃げることや、盗んだものを処分するという意味の隠語として使っていました。

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「ずらかる」の語源は「ずらす」

「ずらかる」は、盗人が使用していた隠語で、「ずらす」が語源となっています。

「ずらす」とは、他人を欺く行為をしたり、他人の目をごまかしたりするという意味で江戸時代から使われている言葉です。

この「ずらす」から発展し、悪いことをして逃げることや、盗んだものを処分するという意味で盗人の間で使われるようになりました。

「ずらす」に、強調の意味がある接尾語「かす」がくっつき、「ずらかす」という言葉が生まれ、「ずらかる」は「ずらかす」の自動詞の形になります。

・「ずらかる」は盗人が使用していた「ずらす」という隠語が語源
・「ずらす」と強調の接頭語「かす」がくっつき「ずらかる」となった

 

「ずらかる」が使われ始めたのは明治時代から

「ずらかる」を文献で確認すると、明治時代から使われ始めたことが分かります。

明確なことは分かりませんが、明治時代後半になってから「ずらかる」が文献でも使用されるようになったようです。

そのため明治時代以前は、「ずらす」や「ずらかす」として使われることが多かったのだろうと推測できます。

 

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ずらかるの「ずら」と、とんずらの「ずら」は別物か?

「ずらかる」の「ずら」と「とんずら」の「ずら」は同じものだと考えられています。

そもそも「ずらかる」も「とんずら」もどちらも悪いことをして逃げるという意味なので、同義であり、「とんずら」は昭和ごろから使われるようになった言葉です。

そのため、「とんずら」は明治時代からある「ずらかる」に影響を受けて生まれた言葉で、「とんずら」の「とん」は遁走、「ずら」は「ずらかる」からきているのです。

・「ずらかる」と「とんずら」は同義。
・「とんずら」は「遁走」と「ずらかる」からできた語

 

盗人が使っていた言葉が語源の言葉

「ずらかる」の他にも盗人が使っていた言葉が語源となっている言葉はいくつかあります。

ごねる

「ごねる」は江戸時代あたりに「死ぬ」という意味で使われていた言葉でした。

仏教用語の「御涅槃(ごねはん)」が転じたものだと言われており、盗人仲間の間では、夜寝ることを表す隠語としても使用されていました。

明治時代になると「ごてごてと文句を言う」という意味の「ごてる」と混同されることが多く、現在の「ごねる」という言葉が生まれたと思われます。

 

やばい

現代でも若者を中心に使われることが多い「やばい」は、元々盗人仲間の間で流行した隠語が元となっています。

本来は危険なことや、まずいことが起きそうなときに使われていた言葉でした。

盗人の間で闇市が横行していた戦後の混乱期に「やばい」という言葉は広がっていったと言われています。

現代では「このドーナツやばい(おいしい)」や「今期のドラマ超やばい(おもしろい)」などいい意味でも使われることが多くなりましたが、元々は悪いことを表す言葉だったのですね。

 

学ラン

「学ラン」も実は、盗人が使っていた言葉が語源となっています。

「学ラン」の「ラン」は、盗人が舶来の服を意味して使用していた「ランダ」の略です。

「ランダ」はオランダの事で、「オランダ人が着るような服」と言う意味がありました。

従来、日本式の学生服が普通であった時代に、詰襟で、丈の長い学生服はオランダ人のような恰好だと見られていたようです。

その経緯から、学生服は「学ラン」と呼ばれるようになりました。

 

・「ごねる」、「やばい」、「学ラン」は盗人が使っていた言葉が語源の語
・「ごねる」と「やばい」は現代と違う意味で使われていた

 

「ずらかる」の「ずら」は「ずるい」が語源

「ずらかる」の語源である「ずらす」にも使用されている「ずら」という語は、「ずるい」からきているのではという説があります。

「ずるい」には横着な様子やこすい様という意味があり、「ずる」や「ずるける」も「ずるい」からきていると言われています。

人をだましたり悪いことをしたりする場合には「ずる」という語が使われるようですね。

・「ずらかる」の語源である「ずらす」は「ずるい」からきている
・「ずる」は悪いことや人を騙す行為を表す
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