パジャマは日本では英語の「pajamas」が語源ですが、「pajamas」そもそもの語源はヒンディー語の「paajaamaa(パージャーマー)」が由来です。
「paajaamaa(パージャーマー)」はヒンディー語では「ゆったりとしたズボン」を意味しますが、いつしか、ズボンだけでなく、夜に寝るときに着る服を意味するようになりました。
それは当時インドを植民地としていたイギリスに関係します。
それでは、ヒンドゥー語ではゆったりとしたズボンであったパジャマが、イギリスでどのような変遷を経て、現代のパジャマになっていったかを紹介します。
パジャマの語源はヒンディー語のズボン
「パジャマ」は外来語で英語の「pajamas」から来ていますが、この「pajamas」はヒンディー語の「paajaamaa(パージャーマー)」が由来とされています。
「paajaamaa(パージャーマー)」はヒンディー語で「ゆったりとしたズボン」を表し、寝間着ではなく洋服としての意味を持ちます。
しかし19世紀にインドに駐在していたイギリス人が、就寝時が楽になるという理由で、ゆったりとしたズボンを寝間着として使用したことから、就寝専用着=パジャマの始まりとされ、世界中に広まっていきました。
そして日本にパジャマが伝来したのは明治時代の欧米文化の影響であり、英語の「pajamas」から「パジャマ」になっていたという段階的なものとなります。
ゆったりとしたスタイルからパジャマがナイトウェア代わりになっていたことから、「パジャマ」はインド発祥とされている。
パジャマがズボンだけでなく2ピースへと変化した理由
パジャマの変遷の理由は明らかにされていませんが、おそらくイギリスの寝間着事情にあるのだと考えられます。
パジャマの原型は、インドの民族衣装でもある上衣の「クルタ」とズボンの「パージャマー」から上下式のゆったりとした衣装から来ています。
先ほどのイギリス人の駐在員がイギリスへ帰還した際、イギリスの寝間着は当時では男女問わずワンピース型でした。
しかし、ワンピース型だと就寝時にナイトシャツの裾がまくれ上がる、寝返りがしにくいなど寝具としては機能性が乏しいこともあり2ピース型の寝間着を取り入れました。
ナイトシャツの裾を腰ぐらいまでの長さにカットして、インドから輸入したボトムスとあわせて2ピースにしたことにより、上下ともインドのゆったりとした民族衣装のようなのスタイルを正式にパジャマと呼ぶようになりました。
パジャマの本場、インドに寝巻きの概念はない
パジャマが発祥した当のインドでは、他の国のように寝る時にパジャマは着ることはなく、普段着でそのまま寝る文化だとされています。
インドの言葉「パジャマ」は現在でも「民族服のズボン」という意味なので、インドではパジャマは寝間着ではなく、普段着として使用されています。なんだか少しややこしいですね。
そのため、インドのパジャマは外出着・普段着としても使用され、格式の高いフォーマルの場でも使用されています。
インドの男性は、クルタパジャマ(クルタは上衣のこと)といわれる、風通しの良い衣装を着用しています。
ちなみに女性はバンジャビドレスといわれるワンピースの下にパジャマ(ズボン)をあしらった衣装を着用しています。
サリー(インド定番のワンピース)では農作業などの作業がし辛いため、着崩れしないバンジャビドレスが開発されたようです。
インド人は普段着のまま、夏場は地面が涼しいといったことから普段着のまま、外で寝るといったことから、インドの寝間着はナイトウェアではなく、普段着としての概念なのです。
パジャマ以前に着ていたもの
日本
江戸時代末期までは、寝間着として浴衣が着用されていました。
江戸時代では銭湯が普及し、湯上り時に着用されていた浴衣が肌に優しい風合いで、汗も吸収することから就寝時にもそのまま浴衣が着用され、やがて浴衣が寝間着として広まっていきました。
ちなみにパジャマに変遷した理由は、明治時代の和服から洋服に伴い、寝間着も浴衣からパジャマになっていたことからです。
イギリス
19世紀のイギリスでは、男女問わずナイトシャツ・ナイトガウンといったワンピースが着用されていました。
さらに下図のように、ナイトキャップも実際に使われていたようです。
ディズニーでお馴染みのくまのプーさんの作品を見ると、時代は1920年代を舞台としていますが、原作者のA.A、ミルンがイギリスの作家であり、舞台もイギリスの田舎町であったために、名残としてプーさんにワンピース型のパジャマを着せているのではないかと推測できます。
フランス
17世紀から18世紀ごろまでは、男女問わずネグリジェ(ワンピース型寝間着)が着用されていました。
「ネグリジェ:négligé」はフランス語で「だらしない」と言った意味を持ちます。
ネグリジェは現在では婦人用パジャマのみですが、なんと当時は男性も着用していたのです。
柔らかい素材で、レースやフリルをあしらった寝間着で、格式の高い貴族の男性でもフリル付きのネグリジェを着ていたとされています。
補足ですが、18世紀まではヨーロッパでは寝間着ではなく全裸で寝る文化もあったそうですが、なかでもフランスの男性が特に割合を占めていたそうです。
パジャマについての雑学2選
パジャマのストライプ柄はデザインだけの理由ではない?
パジャマのストライプ柄は悪夢を見させないようにするためだと言われています。
格子柄が邪悪なものをブロックする象徴する柄だと言われているため、風水的な意味合いを持っているといいます。
誰かにストライプ柄のパジャマをプレゼントする機会があれば、こういった雑学も添えてあげるとさらに喜ばれるかもしれません。
夏場ではパジャマを着ていた方がかえって快適に寝られる
夏の熱帯夜だと寝るときは、全裸の方が涼しくて快適に寝られるのではないかと思っているかもしれません。
ですが、こういった時ほどパジャマなど何かを着ていた時の方がかえって快適に寝られるのです。
その理由は就寝時での汗を衣服が吸収し、全裸だと肌の汗は布団が吸収し、布団の温度が一度高くなり、布団の温度で暑苦しくなってしまうからです。
さらに現代ではメディアなどで就寝時はクーラーを付けて寝るようにと注意喚起までされているので、なおさら全裸での就寝は健康上でもよくないかもしれませんね。